※当然のことながらネタバレを含むので、未視聴の場合には閲覧に注意されたい。
言わずとしれた名作。高校生のころに一度見たけど、強烈なハートマン軍曹の訓練シーン以外ほとんど覚えてなかった。
改めて見てみると、実に訓練期間だけでおよそ上映時間の半分という時間を取っていることに気付かされる。
後半はベトナム戦争の悲惨な戦場の様子が描かれるわけだけど、ここで訓練キャンプにいたデブ新兵のエピソードが、まぁ他の兵隊も同じようなものだよというメッセージのように感じた。
最初は何をやるにも鈍臭くてどことなく純朴に見えたデブ新兵が、同じ小隊の訓練兵からリンチを受けたあとに明らかに人格が変わってしまった。こういう性格の変化みたいなことが、きっと他の兵隊にも起こっていて。
結局彼らはベトナムで「悪逆非道の勲章」を受けるような、「少女殺し」の経験をするようになってしまう。戦場のプレスなんて逃げ口上を打っていたやつも、「人格者」と言われていたやつもみんな少女殺しに加担したというわけだ。こうした演出・脚本はアメリカのベトナム戦争への陰惨な思いがぶつけられているのだろうか。
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ベトナムで同胞の命を多く奪ったベトナム指導者に対してもだが、それよりも、自分たち自身にも忸怩たる思いがあるのかもしれない。
…と思ったが、ベトナムの人からすれば何言ってんだと思われるかもしれない。
映画で描かれる陰惨さや悲惨さなんてごく一部だし、真実ばかりであるとは限らないわけで。
逆にアメリカ側の立場で、「ワンス・アンド・フォーエバー(原題:We Were Soldiers)」とかはどちらかというと、「所属する国にかかわらず兵士やその家族にとっては戦場は地獄そのもの」という、わりかしシンプルな感想を抱いたような気がする。
訓練シーンがネタ的に消費されることが多い映画だけれど、そこだけに注目して消費するコンテンツとしてはもったいないかなと改めて感じた作品だった。