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【映画】「ハンサム★スーツ(映画版)」小気味よいギャグとちょっと引っかかるメッセージ

※当然のことながらネタバレを含むので、未視聴の場合は閲覧に注意されたい。
テレビ放映してたので見た。
 
 
主人公の琢郎(演:塚地武雅)は、太った体型とブサイクであることがコンプレックスだけど、実は心優しい定食屋店主。あだ名は「ブタ郎」。…いや、そのあだ名はあんまりでしょ。
 
そんなわけで容姿にコンプレックスはあるものの、いままでの人生で相当数の女性に告白してはフラれるということを繰り返すあたり、なかなかメンタル強者ではある。そんな過去もあり女性にモテることなどないと思っていたが、定食屋にアルバイトをするべく訪れた星野寛子(演:北川景子)に一目惚れ、自分を気持ち悪がらない星野に対して、一方的に容姿を褒めて告白するも玉砕。
 
傷心の琢郎だったが、親友の結婚式に出るためスーツを買いに紳士服店を訪れたところ、店長・白木(中条きよし)の勧めで、なんと「着るだけでハンサムになれるスーツ」、その名も「ハンサムスーツ」を着ることに。
 
 
見事イケメン・イケボになった琢郎は、名前も「光山杏仁」と名前を変えたところ、街では女性に囲まれ、モデルにスカウトされるなどウハウハ。トップモデルからも気に入られて、これまでの人生では味わうことがなかったほどのチヤホヤ体験をされるが…?
 

 

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序盤は「うーん…」だったけど、ギャグは良い

 
ブサイク=女にモテない、という価値観がもう現代では批判の対象だったりする。いわゆるルッキズムってやつ。まぁでも恋愛の入り口として見た目は大事だったりするよね。
 
勝手なことを言うと、太ってる体型はダイエットするなり運動習慣付けるなり、食事制限するなりして少なくとも「マシ」にはなれるわけだし。
 
そんなブサイクな僕を受け入れてくれる女性が現れた!という展開的には、なんとなく「電車男」っぽい安直さはある。寛子が琢郎に思いを寄せるエピソードがもうちょっと衝撃的だったら、このあたりの違和感は少なかったかも。
 
という文句はありつつも、ギャグの入れ方はテンポがいいし面白い。
店長・白木(中条きよし)の中身が温水洋一は笑ってしまった。マハラジャスーパースターじゃん…懐かしいw
 
ぽっと出の杏仁(琢郎)を敵視していろいろ妨害しようとするけど、その度にひどい目にあう人気モデル・大沢(演:山本裕典)がまたいい味を出している。
 
寛子のあとにアルバイトとして定食屋にやってきた橋野本江(演:大島美幸)はいいキャラ。まぁ今の時代「ブス」って言葉ひとつでハラスメントになりそうだけど、すごくぶっちゃけ明るいブスはモテる。おまけに有能だったしね。(まぁ中身寛子だけど…)
 

「持たざるもの」が突然「持つもの」になる王道展開

 
長年コンプレックスだった自分の体型や顔が、スーツによって人から評価され、好感を持たれるものになった結果、まぁ王道というかなんというか、琢郎はバチバチに調子に乗る。
 
こういう「突然降って湧いた幸運」とか「突然力を手にした」系の主人公が調子に乗っちゃって、本当に大切なものを無くしちゃうというのは映画では割と定番かなという。いい意味で。
 
まぁでも自分が本当に好きだった定食屋を捨てて、モデルで一儲けしようっていうのは、…うーん、いや、リアルといえばリアルか。誰でもそんな一攫千金の機会は惜しいもんね。
 
このあたり、定食屋のいつものメンツからもう少し忠告とか諫言があって、それと琢郎が揉めるみたいな展開があるとより深みがあったのかも。
 

最後の最後に「内面重視」のメッセージ

 
物語最終局面で、やっぱり琢郎は美人なモデルよりも、華やかなランウェイよりも、定食屋と本江を選ぶことに。
 
生きてきた世界が違うし、もともと琢郎は本気でモデルをやろうとしていたわけじゃないから、結果的にこの選択で良かったと思う。
 
ちょっと緊迫感のあるシーンが続いてからの、本江のお尻最強説、ドランク鈴木の一瞬の出番と、ポンポンギャグを入れてくるあたりも緩和剤としてよかった。
 

「私の内面を見てほしい」は、美人であるがゆえの悩みか。

 
個人的にはここが、ちょっと引っかかったポイント。
 
明らかな美人が「私の内面を見てほしい!外見なんて評価されても嬉しくない!」と宣言するのは、見た目に苦しんできた人々にとって救いとなるだろうか。
むしろとんでもなく酷な発言にも思える。
見た目も内面も美しい人という絶対強者が、「私を評価しろ」なんて言ったら、勝てる人いないんですが、っていう。
 
トップモデルが恋敵的なポジションだったからよかったものの、見た目がいまいちで性格がそこそこいい女性が恋敵だったら、だいぶ悲惨な話だ。
 
ともあれ、劇中では「見た目いまいちだけど中身100点」な本江が、実は中身は寛子で見た目も100点でした、という展開なので、琢郎にとっては万々歳といったところか。これはこれで。
 
つまり、あんまり考えすぎると楽しめないエンタメ。見せられた情報をそのまま丸呑みするほうが楽しめる。ギャグってそういうもんだしね。
 
放映されていたら見ても損はないと思う。