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【映画】「雲のように風のように」 どこかにあったかもしれないような歴史活劇

当然のことながらネタバレを含むので、未視聴の場合は閲覧に注意されたい。

 

1990年に放映された単発テレビアニメ。とはいえ話数は1話で、上映時間は80分。まぁ映画として扱ってもいいんでないかというやつ。

 

 

ざっくりとしたストーリー。
中国の架空の王朝「素乾国(そかんこく)」が舞台。新しい皇帝が即位することになり、それに伴って全国から正妃(国王の后)を選ぶために、中国全土から候補となる女性が後宮に集められることになる。

 

主人公となる少女「銀河」は、「三食昼寝付き」という生活を夢見て正妃候補として後宮を訪れる。

 

銀河の人となりは国の正妃としては幼く素朴であったが、聡明で真っ直ぐな人柄もあって正妃となる。ところが、折悪く国政に不満を抱いていた人物「渾沌」と「平勝(後にイリューダと改名)」が兵を集め、朝廷を倒すために反乱軍を立ち上げたのだった・・・というような流れ。

 

銀河はジブリっぽいかと思ったらそうでもない

 

このアニメは実は放映当時すぐに見たので、もう20年以上前だったと思う。当時見たときは「横山光輝三国志っぽい…か?」みたいな感想だったのだけれど、大人になってから見てみるとまったく違う。

 

作品全体として、パッと見はどことなくジブリっぽいように感じられると思う。実はジブリっぽさの正体は、「魔女の宅急便」のキャラクターデザイン、近藤勝也氏を筆頭に、当時のスタジオ・ジブリ作品の制作に関わったスタッフが多数参加しているのだとか。あーなるほどと。でもどの作品に似てるかって言われるとどれもピンと来ないんだよな。

 

[出典]:https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/wfMUWmTyuNc

銀河が老婆に手を引かれて後宮への道「たると」を歩くシーンでは、「トンネルをくぐる」というシーンになるのだけど、「千と千尋の神隠し」とか「となりのトトロ」っぽさは感じなかったかな。

 

一応「トンネルをくぐる」って「生き返る」とか「転生する」とかいう意味の暗喩だったりすることもあるんだけど、演出的にそのタイミングで銀河がそこで大きく変わったとまでは思えなかった。どちらかというとカクート先生との談義のほうが重要なシーンかもしれない。伏線というよりは、それこそが銀河の役割だったよねっていう。

 

戦闘シーンあたりは「天空の城ラピュタ」とかの要素っぽい、いい意味でガチャガチャした感じ。現代のヌルヌル~って動くような戦闘シーンとは明らかに違う。戦闘中に視点がぐるんぐるん回らない時代の作品。個人的にはそのほうが実際の戦いっぽいなーと思ったりする。

 

ただ、破天荒さとまっすぐさ…いや、もうちょっと正確に言うと「色恋沙汰に興味ないがゆえの自然体な魅力を持つ女の子」をヒロインに据えるやり方はけっこうある。…のだけど、こういう主人公って「ジブリのヒロイン」とは明らかに違うよなぁ。どっちかっていうと朝ドラとかに多いパターン。気づかないうちに周りを振り回しちゃう系の。

 

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一人ひとりの描かれ方は短いけど魅力的

 

メインヒロインの銀河はこれでもかというほど描かれるのだけど、他の正妃候補の女性たちも実はけっこう魅力的だったりする。

 

貴族出身でちょっとお高く止まっているように見えて、実はバリバリ銃持って戦える胆力のあったセシャーミン(世沙明)、京劇役者っぽいように見えて実はほんとに戦えちゃうタイプのタミューン(玉遥樹)も魅力的。まぁ、個人的に圧倒的魅力だったのはコウヨウ(江葉)だったけどね。

 

上映時間の短さから、一人ひとりの背景やキャラクターに詳しくスポットライトが当たらないのは仕方ないけど、もうちょっと見たかった!

 

でも、「もうちょっと見たかった!」のところで物語が終わったのは構成の巧みさだとも言える。

 

後宮の美女たちが武器を振るって戦う!「後宮軍」がカッコいいね。

 

映画の見どころのひとつでもある「後宮軍」の戦闘シーンもなかなかの見もの。

 

「もののけ姫」で郭の女性たちが石火矢で戦うシーンもカッコいいけど、女性が活き活き戦ってる姿はカッコいい。タミューンは残念だった…。

 

大砲に投石機、火縄銃となんでもござれ。

後宮の美女に目が眩んで我先に突撃してくる兵士たちを大砲でぶっ飛ばすシーンは、愉快痛快そのもの

 

どこかで見たような、でも見たことない感覚の正体はなんだろうか?

ずっと引っかかってるのがコレ。似ている展開の映画がありそうなんだけど、「これか?」と言われると違う。

 

平勝と渾沌が反乱を起こして、不満の溜まった農民が反乱軍を結成して、とうとう首都近くの関所まで陥落してしまうってストーリーは、「項羽と劉邦」でおなじみ楚漢戦争の、「陳勝・呉広の乱」に通じるものがあって若干胸熱だったりする。まぁ彼らもあまり豊かな身分ではなかったし。…さすがに後宮の美女目当てで首都入りはしなかっただろうけど。

 

このアニメには元になってる小説があって、「後宮小説」という酒見賢一氏の作品。実在の中国史をもとにした架空中国史風ファンタジーを書くのが得意なよう。

 

 

うーん…「あーコレ、この感覚何かを見たときと近いんだけどなんだっけな…」が未だに引っかかってる。悔しい。シェンムーとも違うしな…。

 

中国の武侠っぽいものを扱った作品だと「十三妹(児女英雄伝)」なんかは過去に読んだんだけど、それとも違う。うーーーん。まぁいいや、思い出したら書こう。

 

 

 

ちなみに十三妹は十三妹で面白いのでぜひ読んでほしい。

 

結論

アマプラとhuluで配信されてる模様。(2023/10/15)
契約している人はぜひ見てみてほしい。初見なのに懐かしさを感じる人がきっといるはずだ。


https://www.hulu.jp/like-the-clouds-like-the-wind
https://www.amazon.co.jp/雲のように風のように-佐野量子/dp/B08QV4RY81