やまねこのたからばこ

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【映画】「東京無国籍少女」ラスト15分で全てが覆る。視聴者を残して。

※当然のことながらネタバレを含むので、未視聴の場合には閲覧に注意されたい。

 

Xでシーンの一部が拡散されていたので視聴。

一部界隈では「話題作」の押井守監督作品。

 

 

ざっくりしたあらすじ。



主人公の「藍」(演:清野菜名)はある出来事のせいで幻聴・不眠症などの後遺症に苦しみ、天才芸術家という評価から一転、スランプに陥っていた。

 

藍は級友など周囲からの冷たい態度や視線に耐えつつ、ひたすら巨大なオブジェの制作に取り組んでいる。

 

保健医(演:りりィ)と担任教師(演:金子ノブアキ)は彼女に呆れ果てて見放していたものの、天才との評価が高い彼女は学校にとって無碍にできない存在だった。そのような境遇もまた、彼女を学校で孤立させる要因のひとつだった。

 

しかし、「特別扱い」される主人公を忌々しく思っているのは保険教師・担任だけではなかった。クラスメイトの「沙羅」(演:田中日奈子)たちは藍をトイレに呼び出し、集団で暴行を加えようとする。しかし、一瞬のうちに藍は反撃。その身のこなしは、とても少女とは思えないものだった。

 

事態が一転したのは、藍の前に表れた一人の見知らぬ少女の存在からだった。彼女はロシア語で何事かを彼女に話しかけ、去っていった。

 

藍の内に宿るものに呼びかけるように、学校でのテスト中にモールス信号が響く。「ただちに帰還せよ」。

 

そして大きな振動。藍は教室を飛び出し、悲鳴のする部屋へ。そこには、謎の兵隊が女子生徒を暴行していた。藍は見張りと暴行していた兵士を次々と始末。

 

しかし、侵入してきた兵士たちはその二人だけではなかった。

 

藍はそれが当然であるかのように兵士たちに反撃。自動小銃や銃剣を振るい、一般兵士には到底不可能な立ち回りで次々と兵士を仕留め、最後は敵の戦闘ヘリをも撃墜。

 

そして目覚めた藍。そこは見慣れた講堂ではあったが、学校などではなかった、自分もまた学生ではなく、兵士だった。保健医は軍医で、担任教師は上官だった。

 

藍は自分をいじめてきたはずの沙羅たちが乗る装甲車に乗り込み、ふたたび前線へと向かうのだった…というもの。

 

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「わけがわからない?」それでいい

 

さて、この作品、上記のあらすじを読んでも、「なんじゃそりゃ?」となると思う。事実、映画レビューサイトなどでもストーリーについては酷評が多い。事実、やまねこも初見では「うーん…どうなんだこれ…?」という感想だった。

 

まぁストーリーについてはいろんな意見があると思う。この映画そのもの、あるいは藍の夢が「病気に侵されているときに見る悪夢」っぽかったりもする。

 

まぁあと、健全な男子高校生ぐらいであれば、「授業中の学校に突然武装勢力が突入してきてそれと戦う普段目立たない自分」を妄想したことがある人も多い…らしい。

 

そういう視点で見れば、「青少年の妄想する(不)健全な妄想」がそのままストーリーになったという面白みで楽しむこともできる。

 

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アクションがむしろメインではないか

 

先の「あらすじ」に書いた藍の苦悩やクラスメイトとの確執を描くシーンは、実は上映時間85分のうち60分を占める。そしてこのシーンは、はっきり言って退屈に感じる視聴者も多いだろう。

 

間が多く、次の展開になかなか移らない。その会話いる?と思ってしまうシーンもある。しかし、おそらくこれは意図されたものだ。

 

ラストの15分に、激しいアクションシーンが待っている。

 

この怒涛の展開のために、序盤のやや間延びしたシーンがあったのだろう。

 

最後まで見ると、ラスト15分で爽快感が回収されてどことなくすっきりした感覚さえある。

 

インタビューでは本気でアクションに取り組んだ様子がうかがえる

 

藍を演じた清野菜名氏へのインタビューが、Youtubeで公開されている。

 

www.youtube.com

 

このインタビューを見ると、清野菜名氏は元々アクションシーンを演じたいという思いがあったよう。

 

たった2日という時間的制約の中で撮影されたという「妥協しない」アクションシーン。これはやはり、この作品がアクションを本質としていたこの表れではないか。

 

また、清野氏がこの作品より前に出演した「TOKYO TRIBE」では、「頭や腹など的が大きかった」のに対し、本作では「首筋や脚の腱など、精密に狙わなければならなかった」とある。戦闘シーンはかなり精緻に描かれたことがわかる。

 

さらに、日本の銃を扱うドラマや映画でどうしても感じてしまう「オモチャ感」をあまり感じない。

 

それは清野氏がインタビューで語っているように、銃を「なじませる」ために、自宅で繰り返し練習した成果だともいえるだろう。

 

ミラ・ジョヴォヴィッチへの憧れもあるという。ああ、確かにそういう系統かもな、と感じた。

 

まとめ

 

序盤はかなり体感が長く、また「これはなんの意味があるんだ?」と感じるような間があることは否定しない。

 

しかし、ラスト15分のアクションにつながる布石だという事前理解があれば、それもまたひとつの道程ともいえる。

 

劇場で見るのはしんどいだろうが、サブスクだったら一度は見てみて欲しい。

 

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