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【映画】「バトルシップ」 ロマンのフルコース。「戦艦が簡単に沈むか!」

※当然のことながらネタバレを含むので、未視聴の場合は閲覧に注意されたい。
確かtwitterで話題になっていたので視聴した作品。
バトルシップ(吹替版)

バトルシップ(吹替版)

  • テイラー・キッチュ
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宇宙に向けて、地球外生命体と通信するためにビーコンを送る計画がスタート。数年後、宇宙からの来訪者が訪れる。折しもそのときは、世界14ヶ国の海軍将兵が集まって演習を行う、「RIMPAC(環太平洋合同演習)」のタイミングだった。
 
海上に鎮座した宇宙からの巨大物体は、エネルギーフィールドの展開によって攻撃も受け付けず、また主人公のアレックス・ホッパー大尉(テイラー・キッチュ)、アレックスの兄「ストーン」、アレックスとは犬猿の仲の「ユウジ・ナガタ(浅野忠信)」らが乗艦する駆逐艦3隻がRIMPAC艦隊から切り離されてしまい、この3隻で宇宙からの巨大物体と対峙することになるが…というストーリー。
 

宇宙人襲来モノにしては、きちんとした「軍隊」が描かれていておもしろい

 
たいてい宇宙人襲来モノって、最初にアキレス腱である政治の場や首都が狙われる。「インディペンデンス・デイ」なんかもそうだったね。
 
おそらく地球の人類とは価値基準も政治体制も異なる異星人が、なぜニューヨークだのワシントン、ましてやアメリカ大統領を地球人の首領と判断して攻撃してくるのかという、けっこう不自然な展開がいままであったわけだけど、まぁアメリカ人的には当然だろみたいな感覚だったのかもしれない。
 
「バトルシップ」では中国・香港の被害が描かれていて、なんで香港?って疑問は当然だろうけど、まぁ映画作るのってタダじゃないので(意味深)、そこは目をつぶってもいいのでは。
 
「バトルシップ」においては、確かに宇宙人襲来当初は最初に市街地に被害が及ぶのだけれど、恐らく宇宙から物体が着弾する確率が一番高いのはまぁ海だよねっていう前提で、太平洋で演習中の海軍が最初に対応にあたるというのは、「おぉ、ちゃんとした軍隊だ」となる。
 
宇宙人からすれば、最初に拠点を築くのが陸地である必要性なんかまったくない(はず)ってことか。いや、どうかな…水や塩分が苦手な宇宙人だったらそうはいかないし、仮に地球人が海洋生物だったら陸地のほうが有利か…?
 

登場人物の性格はかなりハチャメチャだけど、それはそれで魅力

 
次にキャラクター。主人公のアレックスだけど、こいつがなかなかどうしようもない。
教養も能力もあるのに、直情的で問題行動ばかり。いや、これもう直情的のレベルを越えてるでしょってレベルでキレやすい。
 
軍隊に入るきっかけになった冒頭の事件も、いや、そうはならんやろ…ってレベルの荒れぶり。テーザーぶちこまれても全然同情できない。
 
むしろ、こいつと対立してるナガタがまともな人間だよねって思いがちなんだけど、ナガタはどっちかというと無個性なイメージ。なのにこっちもまぁまぁキレる。まぁアメリカ人から見るとそうなんかもしれない。
 
そんなアレックスだけど、宇宙人が襲来して、兄ストーンが乗艦する駆逐艦「サンプソン」が撃沈。兄のストーンが殉職してから突如として覚醒する。巨大宇宙戦艦(なのか、構造物と呼ぶべきか)を撃破するため、ナガタと友情を深めつつ優れた指揮を見せる。
 
なので、アレックスの序盤の振る舞いが、後半の優れた指揮能力を際立たせるための演出だったと考えれば、それもアリか。実際魅力的に見えたしね。
 

 

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最大の魅力はやっぱり「ロマン」なんだよなぁ

 
この映画、「新旧」の要素がうまく合わさっている。現代の海上戦闘で、いわゆるWW2時代の「戦艦」が活躍する余地って皆無に近いんだけど、エネルギーフィールドで包まれて外部と隔絶されたという状況が、バトルシップ(戦艦)に奇しくも活躍の機会を見せた。
 
空母艦載機が到達できないフィールドで覆われた海上であって、攻撃する対象が巨大な構造物であって、なおかつミサイルなんかの誘導兵器が役に立たないっていう超限定的戦況でのみ発揮される能力。
 
 
記念艦として展示されていたアイオワ級戦艦「ミズーリ」のバカでかい大砲の威力。これがやっぱりロマンだなと。超巨大な大砲を積んだ船がバカスカ砲弾を撃ちこむ…現代のどこかスマートで洗練されたミサイル駆逐艦とかとは違う、どこまでも無骨で雄々しくて泥臭い(海だけど)、「戦うための船」としての「バトルシップ」って、カッコいいよねっていうのがこれでもかと描かれている。
 
あとは、旧式の戦艦を操る能力が現代の海軍軍人には不足しているってシーンで、退役軍人たちが勢ぞろいするシーン。これもロマンだなー。アニメとかで旧式の温存されていた兵器が無双するようなロマンを感じる。
 
「何をしてほしい?」ってセリフ、本当にカッコいい。アレックスたちの「先輩」にあたる退役軍人の言葉。年をとったらこうありたいもんだね。
 
「死は避けられない。あんたも死ぬし俺だって死ぬ。みんないつか死ぬ…だが、今日じゃない」ってセリフもいい。覚醒アレックス、やっぱり前半との対比で別人レベルだね。
 

結論、細かいことを気にせず見よう。全力で見よう。

 
まぁコレ。細かい所を突き詰めると不自然なところとか設定の甘さとか、え、結局ソレ何だったん?って要素はある。
けども、アレックスという一人の人間の成長と変化、そしてタイトルにもある「バトルシップ」ってのは強いんだぞっていう、海の男たちのプライドが見られるいい映画。
 
この映画で注目するべきは「リアルさ」ではなく「熱さ」。笑いながら、ポップコーンを食べながら見るんだ。
 
ハチャメチャな主人公がイカした爺さんたちと一緒に旧時代の戦艦に乗って、地球に来た宇宙人に「痛いの」をぶっくらわせてやる様子に歓声を上げる、それでいい。
 
「戦艦が簡単に沈むか!」