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【漫画】「うなぎ鬼」 (1巻)うなぎは何でも食べる…タンパク質なら、何でも。

※当然のことながらネタバレを含むので、未視聴の場合には閲覧に注意されたい。

強烈な表紙に誘われて読んでみた。
ホラー系かな?と思っていたけど、心霊描写というわけではなく、どちらかといえば現代の闇みたいな話。

 

 

借金が嵩んだ人間が借金取りになる、なんとも因果な出来事だけれど、まぁそりゃそういうこともあるよなぁ。
 
身体は大きいけど性格はぱっとしない男、「倉見」が主人公。基本的にこの作品は倉見の一人称で話が進行していく。
借金のカタに生命保険を使われそうになったところを助けてくれた、どう見てもカタギじゃないけど一応カタギな社長、「千脇」の元で働くことになった倉見。
千脇社長の指示で、相棒とも言うべき「富田」とともに「黒牟」駅にある異様な雰囲気の水産会社「マルヨシ水産」の特別配送に従事することになるというストーリー。

 

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頭が禿げ上がり歯も抜け落ちた異様な風体の信吉が話す、「うなぎはタンパク質ならなんでも喰っちまう」という言葉、
仕事中の感電で顔半分が焼け焦げてしまったマルヨシの秀の暗い表情、
そして運ぶのが、重さが「50~60kg」で、「異様に冷やされた」、「台車で運ぶサイズ」のコンテナ。
仕事内容の容易さとは不釣り合いな、「15万」という高報酬。
 
これだけの不穏な情報が出揃えば、この漫画の絵柄自体が持っている暗く淀んだ雰囲気も合わさって、どう考えても「絶対に運んではいけないもの」を運んでいるのではないか?と、「倉見」も読者も思ってしまうのは間違いないだろう。
 
 
運んでいるものを見てはいけないし、見てしまえば、中身もだけれど、見てしまったことそのものが業になってしまう。
 
でも、あくまでそれは自分の勝手な思い込みであって、実際に見てしまえば実は単純な勘違い…そう、単なる「ウナギの餌」である可能性のほうが高いわけだけれど。
もし自分がこの配送役であったなら、それを見ないという選択が果たしてできるだろうか?
 
黄泉の国で、中を見るなとイザナミに言われたのに扉を開けてしまったイザナギ
町の方を振り返ってはいけないと言われたのに振り返ってしまい、塩の柱となってしまったロトの妻
父ノアの酔った姿を見たために子孫まで呪われてしまったカナン
 
「見るな」のタブー話は世界中、あらゆる神話や童話にある。
そう、この「うなぎ鬼」の第1巻の展開は、まさにこのコンテナは「パンドラの箱」だ。
続巻ではこのコンテナを開けてしまって物語が進行するのか、それとも、開けないことそのものが物語なのか。
次巻以降の展開が楽しみな第一巻だった。